高橋慎一郎氏投稿1

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土ブロック製作報告書

土の空間工房SOBATO  高橋慎一郎

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(リポート冒頭部より抜粋)

1.はじめに

21世紀に生活を送る私たちの家づくりの多くは、現在、様々な問題抱えている。例えば、家自身に目を向ければ、農薬等と同成分が含まれる毒性のある木材保護塗料(防腐、防虫、白蟻防除塗料)、製造段階や廃棄段階等でダイオキシンを発生する塩化ビニルを使用した壁紙と揮発性有機溶剤が含まれた接着材、発ガン毒性の疑いがあるといわれるガラスウールとロックウール等。そして、こうした材料を用いた家づくりは、アレルギー患者や気管支系患者の増加をもたらしているといわれている。また、地球的な視点で見れば、建築材料を遠く外国から運ぶために使用さるガソリン等の石油資源の枯渇問題、コンクリートの材料の一つであるセメントの製作で地球温暖化に繋がる温室効果ガスの一つである二酸化炭素の排出等。こうした問題の拡大を防ぐために、伝統的な技術にも着目しながら、自然エネルギーや自然素材を生かした健康的で心地よい家づくりが日本を始め、様々な国で研究・実践が行われている。そして、そうした動向の中、自然素材の一つである「土」も着目されている。
土は地球上で最も入手しやすい素材ともいわれ、UNESCOの2001年度統計によれば、現在、世界中の約30%の人々が、土の家で生活を送り、まだまだ多くの国では家の建設に欠かせない素材といえる。そして、土を生かした家づくりは、以下のような6つの利点が挙げられる。

① 風土・歴史性
:土地の土色が地域風土との調和を図る。
② 快適性
:熱性能(蓄熱)、音性能(防音)、空気性能(調湿、ガスの吸放出)、
火性能(耐火、防火)等の環境工学的側面で優れている。
③ 地球環境性
:太陽のエネルギーで固まるので、CO2排出量の観点から見ると地球環境への負荷の少なさ、解体時の化石燃料エネルギー使用量の少なさが挙げられる。
④ 施工性
:可塑性に優れ、施工に関して危険度も少なく、自力建設が行いやすい素材の一つである。
⑤ 意匠性
:土色・形態・仕上げの表情等を生かしたデザインが可能である。
⑥ 経済性
:施主参加によるコスト低減、各地域の土の利用による運搬費削減は建設コストに削減に繋がる。

こうした利点を持つ土の家づくりが、千葉県市原市の山中に位置するブリック&ウッドクラブ ゴルフコースの一画で始まろうとしている。2007年5月7日(月)・8日(火)、中島健一郎氏邸新築(設計:薩田建築スタジオ)計画のスタートとして、御施主の中島健一郎さんに依頼され、今回、土ブロック製作を行った。この土ブロック製作の目的は、建築部材としての土ブロックの構造体または仕上げ材としての可能性を探るための出発点として位置づけ、今後の参考として生かされる予定である。


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