能登土蔵修復1久住章

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土蔵の輪 02.jpg

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能登半島地震による輪島土蔵修復報告 その1

久住 章


はじめに

この地震によって多くの住宅が倒壊、あるいは柱が折れ、梁が破断するなどの被害が出た。
土蔵の場合、屋根瓦のズレや落下は少なく、多くの木構造は、シロアリ、湿気、水害時の腐食、一部の蔵が少し傾く程度であった。それにも関わらず、多くの土蔵で大量の土壁が落下、それも貫(ヌキ)の位置を中心に裏・表に小舞竹ごと剥離した物が多く、つまり左官工事のみが大きな問題を抱えており、蔵は地震に弱いという風評が広まっていた。
土蔵は左官技術の中でも花形の建物であり、この問題を放置することは左官業界全体の信用に掛かる大問題に発展しかねないのである。以下、初期調査における問題点、今後の改善点について述べてみたい。

初期調査記録

1.土蔵の立地条件と現状について
(1) この周辺は、もともと川の堆積土の上に築かれた建物が多い。
(2) たびたび洪水に見舞われた蔵も多くある。
(3) 平均して地下水位が高く、場所によっては60cmの深度で水が出る。
(4) 土蔵の周囲に深い側溝が無く、普通の排水溝程度である。
(5) 土台下の基礎石は、地元で調達した加工しやすい軟らかな石であり、水分を下から吸い上げやすい性質である。礎石のある物は、水分の影響で表面がボロボロと崩れる、弱い石も見えた。
(6) 地面から土台の高さが50cmと低いため、土台や柱の根元は腐食しやすい。
(7) 吸水性のある基礎石を使用しているため、土台から外の部分の石の天端から土壁に、常に水分を吸い上げ、その水分はたぶん2階まで達しており、柱の表面や貫が湿気によってかなり侵食が進んでいた。  (図①)
図 01彩色.jpg図1(図は全てクリックすると大きく見られます)
(8) 当然、それは貫(ヌキ)と縦竹を結ぶ縄の強度がなくなり、簡単にちぎれる程になっていた。
(9) また、土蔵の使用目的は「塗師蔵」が多く、現在、修復工事が進められている。進行中の大崎邸では、火災時、外部からの熱で内部の温度が上昇した折、床下の四隅に設置された大きな水がめの水が水蒸気になり、内部に保管された漆器を守る工夫がなされている。これも結果的に、床下の湿度を高め土壁や構造材の劣化の要因になっている。
(10) ほとんどの塗師蔵は、土蔵本体の外に鞘屋根とその壁で覆われているため、土蔵全体が外からの風に当たらない。このため、土壁の持つ調湿機能以上に地面からの水分の影響を受けて、多湿化が恒常的に起きていたと推測される。
(11) この土蔵の貫(ヌキ)の芯々は2尺であったが、貫と貫の間に横間渡し竹は一本もなく、結果的に、貫が全荷重を受けて基礎石にのっ掛かり、立っていた状態であった。さらに、縦竹と貫を結ぶ縄が腐食したため、ぜい弱になり建物から剥離落下してしまったのである。
図 02彩色.jpg図2 A,B,C
(12) 土蔵の小舞工法は、全国的にほぼ共通している。柱の断面をノコギリ状Ⓐにして外横竹をのせる、もしくは木のダボか竹クギを打ち込みⒷⒸ、外横竹を固定する。 →図2 ⒶⒷⒸ
しかし、輪島の土蔵はほとんどそれらが無く、単純に縦竹に外横竹を結び、貫がすべての荷重を支える工法になっている。その為、大きな落下につながったものと思われる。
(13) 以上の列記した理由のほか、左官的に別の見地、技術点などについて記していく。
一番初めの土ダンゴの手打の土が、外横竹・縦竹を越えて貫の上部に到達しておらず、縦竹の位置にとどまり、外からの荷重が貫に掛かっていない。貫の上部の土は、内部からの手打によるもので、内外部の手打による土が一体性を欠き、接着性を弱くしている。 →図3 ②③
図 03彩色.jpg図3 ②③
(14) 輪島は地域的に竹の植生が貧しく、竹小舞に適した形状の竹が少ない。共通して、縦竹・横竹の直径は5~6cmと太い。また別の問題としてノコギリ状に柱をかぎ込まず、貫面から柱面まで2寸ほどある。これは縦竹が細いと外横竹との間に隙間が生じて“結び強度”が出ないので、太い縦竹を使用したのではないかと思われる。当然、縦竹を7本にした場合は縦竹と縦竹の間がせまくなり、手打の土が貫の上部に到達しにくくなる。もうひとつの問題は、内部の壁が化粧貫になっており、手打の土で貫の上部に十分な土をかぶせられない事情もある。
(15) ほとんどの蔵では、外からの手打の土が縦竹の内部まで到達していない。しかし、中には貫の上部までしっかり土がかぶさっている建物があった。この場合、小舞下地が雑でも土壁は剥落していない。この建物は化粧貫になっておらず、内部の壁は床から天井まで1枚の壁に仕上がっていた。 
(16) 輪島の土蔵は総じて貫下の横間渡し竹(尺八竹)が入っておらず、貫の部分のみ縦竹に縄を2重に結ぶのみである。しかし、貫材は四隅に角があり、その面取りがなされていないので、縄目が角に引っ掛かり、十分に締め付けられていない状態であった。しかも、結び方は普通住宅レベルなので、“これで今までよく持ったな”という思いがした。
(17) 土を7寸~1尺と塗り上げる場合、その荷重を支えるために大量の「下げ縄」あるいは「つぼ縄」を“男結び”にして準備する。輪島ではほとんどの蔵でこの施工が無く、“タル巻き”による「縦縄」「横縄」の施工も皆無であった。中には、3寸ほどの細い「竹クギ」を手打の下地に打ち込んで荒壁塗が施されていたが、手打が薄いので役に立っていない状態であった。図4出牛政雄
図 04彩色.jpg図4
(18) 手打及び荒壁に使用されていた粘土質は、普通の中塗土に近く、細かい砂が多量に混ざった畑の土のようで土蔵に適した土では無かった。ただし、その他の施工が正常であれば、かなり粗末な土でも問題は無いという実感を持った。たぶん輪島市周辺では、良い土が入手困難であったと思われる。
(19) 土蔵に使用されていた竹は、未だに艶があり再利用するために分別してあった。しかし、風通しの悪い敷地に横に積み上げ、その上から雨水避け用ビニールシートをかぶせていたので、地面からの湿気の影響を受けて(5ヶ月間さらされ)蒸れてしまい、残念ながら使用できなかった。

以上、本年4月に始まる初期調査記録を記した。これら列記した事柄について私見を記したい。


外横竹と隅柱の角の処理について

図 05彩色.jpg図5 A,B
土壁剥落時の調査では図5のⒶのようなコーナー処理であった。
隅柱の角は角目(45°)にすると1.4倍の塗厚があるのに、なぜ図5 Ⓑの方法を採用するのか比較しながら私見を記してみる。
図 06彩色.jpg図6
本来、土蔵は二階建てが多く、輪島においては高い二階建てである。外周の桁は無く、すべて二階まで通し柱である。柱をつなぐのは貫(ヌキ)と二階床レベルの床板を張ることで、内部に“引き付け”と“ねじれ”によるひずみを解消している。しかし、土蔵は防火の建物である以上、外部に土を厚く塗る宿命にあり、土の荷重が外に対して引っ張り出そうとする力が働くのである。しかし、蔵の木構造がこの問題、“土の荷重が外に対して引っ張り出そうとする力が働く”に積極的に対応しているとはいい難い。その問題を左官の工夫として少しでも喰い止めようと、竹を角で切らず、しかも“ちぎれたり”“折れたり”しないように節を1m以上、ハンマーでつぶして1本で曲げ、隅柱が中央で外に膨れないようにしているのである。
この工法を可能にするためには、乾燥した丸竹では難しく、水分の多い青竹が必要である。
図Ⓐの場合、木構造の変更が必要である。私の考えでは、木構造にスジカイは1本も無く、竹小舞による大壁方式によって地震に対応している結果、木構造そのものに耐震能力は無いのではないか。特に考えられることは、通し柱で背が高くなるほど上部の“ゆれ”の振幅は大きくなる。従って、ほかの地域の土蔵では二階部分の天井は低く、全体として見ても二階建てとしては屋根が低い。


竹小舞の役割について

さて、ここで竹小舞の役割について考えてみよう。
まず、住宅における竹小舞は通常、真壁で(3尺~1間)、柱と柱の間に施工される。真壁の竹小舞の結び方は、特に丈夫に結ばれている訳ではない。“カンタン”に結び、竹小舞の間に土を塗り付ける(スキマを埋める)。そして土壁が乾くと堅くなり、強度が出る。現行法では壁倍率1以上の強度が出る事になっている。しかし、土の品質は“バラツキ”があるから強度も違い、明確な指針が示されていない。さらに竹小舞そのものにも強度を求めていない。果たして、竹小舞に対する徹底した工夫は、成されていたのだろうか。図イの竹小舞の結び方は、全国で通常に行われている方法である。最短の手間で結べるが、竹小舞そのものに耐震能力は無い。竹のスキマに土を塗ることで強度が出るという考え方である。
図 07彩色.jpg図7


「大工邸」修復における実験報告

今回、輪島で修復が進む「大工邸」(大工は苗字で職業は塗師屋である)における実験について報告する。(実際は手間が掛かり過ぎるため、図Ⓑより少しカンタンな方法を採用した)
図8は、竹小舞の改良工夫について図示した。この図を見ながら読み進めて欲しい。
図8の方法は、通常の3倍以上の手間は掛かるが、荒壁の品質とは関係なく、竹小舞のみで耐震強度が出る。もちろん、この竹小舞に荒壁として品質のすぐれた土を選んで塗れば、常識をはるかに超えた強度が出るだろう。
図 08彩色.jpg図8図 09彩色.jpg
図8の詳細な説明に入る。
(1) まず、横間渡し竹と縦間渡し竹の交点イに注目して欲しい。これを強固に結ぶことによって、摩擦係数が上がり、横ゆれに対してかなり抵抗度数が上がる。その理由は、縦竹の左右に並行して結ばれた縄が横ゆれの折、交点を中心にして縦竹が動くのを阻止するように働くからである。この時、横間渡し竹は巾細より巾広の方が有利に働く。その為に、横間渡し竹を特に広くしたが、広くし過ぎると縄を結ぶ折、指のサイズの関係で作業性が悪くなる。
図 10彩色.jpg図9
(2) 普通、間渡し竹を「えつり穴」に差し込む部分を細く削る(図9)。これは単にえつり穴に差込みやすくするだけでなく、縄の結びはじめをこの部分に結ぶことによって、縦竹が右方向に移動することを防いでいる。もちろん右端の結び終わりも同様である。
(3) 横間渡し竹の方法は、縦間渡し竹にも同様にして結ぶ。

上記の方法を用い、現場施工に先立って実験し、その効果を確かめた。
(1) 竹小舞のみで、600×1000=0.6㎡の面積を結び、45°に傾け、荷重(体重)60kgを掛けた。目測で確かめた結果、竹小舞はまったく“ゆがまず”崩れないことが分かった。この動作を10回繰り返し、ようやく“ゆがみ”が少し現れた。これを正式な装置で曲げ強度実験すれば、正確な数値が出るのだが、今回の単純な実験方法でも効果の高いことが実証できた。この実験成果から、竹小舞の結び方の数を増やす分強度が増すし、横間渡し竹の本数が増すほど比例して強くなる。もし、予算が青天井の現場なら、横竹すべてを間渡し竹として結べば最高の強度が得られる。(その場合、竹の隙間を広くする必要が生じる)


竹小舞の結び方の工夫について

この結び方はすべて同じ方向で結ぶと、左からの横荷重には強力に抵抗するが、右からの横荷重には抵抗力が少なくなる。つまり、一段ごとに方向性を変えて結ぶ必要がある。これは、縦間渡し竹も同様である。通常、3尺内では縦間渡し竹は3本だが、4本にして左右2本ずつ反対に結べば、力は均等になる。そして最大の特長は、途中で縄が切れても一箇所ずつが緊結されているから、“ゆるむ”ことがない。この形状で結ぶ際に留意したいことは、縄を強く締め付けながら結ぶことである。
図 11彩色.jpg図10

間渡し用割竹の断面の工夫について

縄を良く“しめる”ために、割り竹の断面を工夫する。図11のイロで比較して説明する。普通、割り竹はこの形状イになる。この形状で結ぶとBの部分をAで強く締め付けることは出来ない。 割り竹を電ノコでこのような形状ロに改良すると、縄は強く締め付けられて“しまる”。
図 12彩色.jpg図11


縦間渡し竹の固定の工夫について

図 13彩色.jpg図12
普通、縦竹は土台から10mmほどスキマを開けて、横間渡し竹に結ばれる。その理由は荒壁を塗ると、その大きな荷重によって縦竹が下に下がるためである。仮に下のスキマを開けずに土台の上に直接乗せて竹小舞を結ぶとすれば、その結果、荒壁の中央から下に掛けて縦竹側に膨らんでしまう。この故障原因として、細い柱にチリを確保するために、竹小舞をなるべく薄くすることが上げられる。つまり、荒壁の重量を支えるだけの、丈夫で太い肉厚のある竹を使用できないことにある。この弱点をカバーする方法として、縦竹を土台から3分ほどスキマを開けている。 →図12
図 14彩色.jpg図13
大工邸(塗師屋)では柱が4寸5分と太く、貫の位置を8分片方にずらしているため、十分にチリが確保できた。その結果、巾広で肉厚のある竹を使用できた。この竹小舞であれば、竹小舞自体の強度を期待できるから、縦竹は土台の上に(スキマを開けず)直接乗せて、すべてクギで貫に固定した。この方法の竹小舞に荒壁施工したが、現在までまったく膨らんでいないし、ほかの故障も視認した限りにおいて見られない。
しかし、これらの工夫については異義を唱える人もいるであろう。私はその工夫に到った理由、メカニズムについて、反すうしながら考察して見たい。


考察

(1) 地震による動きはとても複雑であり、「必ずこう動く」とは言い切れないが、とりあえず単純に横揺れ時を想定してみる。
まず、土台と梁は水平に移動して柱のみが斜めに揺れる。当然、貫も水平方向に移動する。縦竹は貫に対して点で固定されており、貫の動きに追随する。
貫穴は貫巾より広く開けられており、クサビで柱に固定されている。棟上当初のクサビは堅く打ち込まれており、クサビのおかげで柱と柱がつながっている。柱が傾くと貫穴は貫に対して図のような関係になる。この動きは隅柱の中央が外に膨れない限り、柱の中を貫が広く左右に行ったり来たりしているわけでは無い。
 横揺れの折、最初に柱とスキマなく塗られた土壁が圧縮されて、土台や梁の際が破壊される。そして、揺れの回数が増すごとに破壊が進み、やがて柱際も破壊される。次に直接、竹小舞に圧力が掛かるようになり、左右に対する圧縮力から壁の裏表への震動になる。特に1間壁などは縄が切れ、土壁の剥離落下により小舞竹がバラバラになる。(この事例は、阪神淡路大震災による)
図 15彩色修正.jpg図 16.jpg図14
(2) 普通、縦竹は横間渡しに結ぶのみで、貫と結ぶことは稀である。つまり、縦竹を貫に固定することが、裏表の震動はく離を防ぐことになる。佐賀県の、ある曲り屋(カヤ葺き)の竹小舞の縦竹は、貫を中心に二重になっている。これは単に厚く土を塗るためだけではなく、裏表の震動はく離を防ぐためかも知れない。ひょっとすると、なにかの本で見た奈良東大寺の山門の壁も同じなのかも知れない。
図 17彩色.jpg図15
(3) 縦竹を貫に固定する縄が、極端に貫の動きを妨害するとは思えない。むしろ積極的に縄が強く“しまる”ように、貫の角を面取りすべきである。
(4) 伝統工法と云われる技法も、常に経済的な理由にさらされて、最高条件ではなく最低条件におかれる場合が多いのも世の常である。耐震実験の対象物も世間に追随しないことを希望する。
(5) 上記のように手間を掛けても、生の青竹では乾燥による収縮のため縄がゆるむ。青竹はよく乾燥させる必要がある。秋に切り取った竹は、翌年の春以後まで待つ方が良いかも知れない。
竹屋さんの話では、必要な割り竹は青竹を割って乾燥させると言っている。一方、大分県日田市の左官・原田進氏は、青竹を割らずに乾燥させれば3年過ぎても傷まないと言っている。ただしこの場合、丸竹で乾燥させると割るのが大変とも言っている。
(6) 上記のように手間を掛けても、一番気になるのが縄である。
縄の寿命はいったい何年持つのか未知数である。古い木造を解体した時など、100年前の昔の縄でもほとんど傷まず問題のない物もある。輪島でも80年前に結ばれた太さ3mmの細縄を、手で強く引っ張っても切れない物もある。しかし建物の状態によって、どうしても傷むことが部分的に防げないのも現実である。縄が長期に渡って傷まない人工的な処理が必要である。このために植物性の液体やオイルに浸したり、その他の自然素材による処理方法を考案したり、あるいは太目のシュロ縄やロープも良いかと思う。
(7) 縄の種類も選ぶ必要がある。金沢の庭などで雪から木を守るために作られる、堅くよられた丈夫な縄は、竹に対して強く結んでも、円の線しか竹と接触しないので摩擦係数が上がらない。ほんの少しゆるくよった縄は、強く結ぶと楕円の形状になる。そして竹との接触面積が多くなり、摩擦係数が上がり、結果として丈夫になる。また細縄より太縄の方が良いことになるが、太過ぎれば竹を結びにくくなるので、真壁用であれば2分以上、土蔵大壁では3分を使用する。
(8) 竹、縄、ともに太くすると、「真壁」の場合は“チリ”がかなり浅くなるので、貫をずらすか4寸以上の太さの柱が必要になる。


まとめ

左官工事として、竹小舞の最良の可能性を記してきた。これを実現するためには、安くていい物ではなく、手間を掛けても丈夫な物を作る工夫や改善を目指さなければ、この工法の未来は無い。
戦後60年の間、世界は資源を浪費するモノ作りを続けて来たし、そこからさまざまな問題が発生している。今後、社会は資源節約型のモノ作りに変わっていく状況にある。とりわけ眼前に迫る水不足、食糧不足、資源ナショナリズムによる外国産材の供給困難な時代が予想されている。したがって、国内での資源調達に迫られ、育成の早い竹が重要な資源として見直されることになる。今、竹小舞の実験・実作によって可能性を探り拡げて、将来に備えることは、左官の近未来の活躍につながる必然的なテーマである。
資源節約型のモノ作りの最大目標は、“丈夫で長持ち”である。
現在、全国各地で百年住宅なるものが流行っている。しかし、100年ぐらいでは社会資本にはならない。ヨーロッパ並みに300年ぐらいを目指すココロザシが求められる。このための仕方を簡明にして言えば、柱も梁も太くして壁も厚くすればよい。これに伴い、竹小舞は現在よりもっと丈夫にすればよい。対策は見えているのだが、現工法が対応できていないことも明白だ。

以上、途中経過を記してきた。次回の報告は私のほか、修復に取り組んでいる仲間の現場リポ―トも加えていく所存である。楽しみにしてもらいたい。

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