原田宗亮氏投稿1

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東京ハウスミーティング2003を振り返って 今思うこと

東京都左官職組合連合会 平成会  原田宗亮


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新宿のリビングデザインセンターOZONEにおいて、2003年9月11日~23日の2週間、家づくりを考えるイベント「東京ハウスミーティング2003」が開催されました。われわれ平成会が現在のような左官啓蒙活動、講習会活動を積極的に始めるようになったきっかけのイベントでした。

メイン展示の「土の王宮をつくる」では小沼充氏、白石博一氏、久住有生氏の3人が中央に巨大な王宮を作り、その周りを様々な風合いの土の三角パネルで彩りました。三角パネルは平成会メンバーをはじめ、左官職人がそれぞれのアイデアを出し、思い思いの土壁を仕上げ、その周りを土の作家、鈴木真由美さんのオブジェが彩っていました。また、一方では一般参加のワークショップで素人の方が城壁を泥のレンガで組み上げたり、竹小舞に土壁を塗っていました。そんな素敵な空間で現代左官のカリスマ的存在である榎本新吉氏、久住章氏、狭土秀平氏の講演が開かれました。

われわれ平成会は独自にブースを借り、それぞれ相談しあって作った塗り板サンプル100枚を展示。そのほか左官素材展示、けいそうメダカ(珪藻土で作成した金魚鉢に展示期間中メダカを飼いました。)なども評判を呼びました。「土と左官の本」でお馴染みのアイシオールの協力があり、様々な人を結び付けてくれました。小沼充氏、白石博一氏は平成会に入会し、久住章氏には平成会の名誉顧問になっていただきました。

西新宿のビルの吹き抜けであれだけ大規模な土のイベントが開かれたことは、今、写真を見直して思い返してもびっくりします。あれは夢だったのでしょうか?

いや、夢ではありません。平成会の結束はあのイベントによって強まりました。100枚の塗り板はその後、貸し出し依頼が多数あり、大阪まで送ったこともありました。今、一部は渋谷の居酒屋に常設されています。平成会の結束が強まったことで、その後数々のイベントに参加することができ、竹中道具館の「大工を支えた工人達~左官とその道具」東京展という大きな企画も協力・成功させることができました。

何かのイベントで左官の実演コーナーをやっていると来場者から「あなたたちは何のためにやっているのですか?」と聞かれることがあります。その質問の中には(そんなことやっても左官の仕事は増えませんよ)(誰をターゲットにやっているのか?そんなことやっても無駄ですよ)なんていうネガティブな意味が取れる場合があり、始めは答えるのにも苦労しました。

でも今ははっきりと言えます。「自分たちのためにやっている」のだと。自分たちが左官が好きでそれを知ってもらいたい。自分が知っていることで有益なことは教えたい。自分が知らない左官の技術は教わりたい。それが我々平成会という集まりの原点だと感じています。そして何よりも自分たちが楽しくできること、それがないと続きません。

今まで経験してきた数々の講習会を通じて会員同士の結束はどんどん強くなっていきました。大きなイベントを成功させてきたことで自信もつきました。今後は更に大きなイベントも参加・企画できるよう会員同士で知恵を絞っていきたいと思います。

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