木の家
特定非営利活動法人 緑の家学校 芝 靜代
一口に木の家と言っても、色々です。
なぜ、木の家かというと、木は石油やセメント、金属のように
限りある資源ではなく、再生可能な建築資材であるからです。
しかも、木は生長する時にCO2を吸収します。
温暖化防止の旗頭です。
緑の家学校では有害な接着剤に頼る集成構造材や合板を使わず、
日本の植林の木を使って建てる木の家を勉強しています。
60年から80年の桧、杉、唐松と
ふんだんにあり、山に打ち捨てられる運命にある
間伐材を主に使います。
また、工法は日本の伝統的手法である
継手、仕口、ダホ、楔、コミ栓を使い、
金物に頼らない2千年の匠の技です。
神社仏閣や古民家に使われているような大径木は極力使いません。
大径木は生長に時間がかかるし、
運送費もかさみます。ということは高価です。
ですから、小径木をダホで止めて構造的に組み合わせ、
合成した柱や梁を作ります。
間伐材は割ってまげてダホでとめて、
力を逃がすアーチを作り、柱のいらない大空間を作ります。
これこそ、大工さんの腕が存分に揮える木の家です。
きちんと構造計算がなされていますので、
台風も地震にもびくともしません。
金物を使わず、木と木を組み合わせていますので、
木と金物間の温度差による水分発生がなく、木が腐朽しないので、
耐久性ものびて、100年は優にもつ建物が建ちます。
要所要所に厚い板や、柱や梁をムクの木で配置すれば、
燃えしろ設計基準により、延焼防止や火に安全な建物が
作れるようになってきました。
木の家を建てるときは出来るだけ
建設地に近い場所、出来れば100キロ圏内位から
資材を調達できると良いですね。
運送に使うエネルギー(ガソリンのCO2排出)の問題もありますが、
切られた木もかって生えていた場所に近い気候のほうがなじみやすいのです。
木も土の壁も空気中の水分を吸ったり吐いたりしています。
内部が木や土の壁の家は室内の湿度調整が自然に出来る仕組になっています。
日本人は縄文の時代から何千年たっても
そうかわらない体の構造だと思いますので、
風通しが良ければ、高温多湿の日本の気候にあった家は
昔から現在まで、木の家だということです。
日本の山にはたくさん木があるのです。
車を売って、木を輸入する国の政策なのかもしれませんが、
なんとか身近にある山の木を使って木造建築を建てられるように
緑の家学校では坐学と実践をしています。
次は冬の断熱と太陽の恩恵を受ける暖かい木の家について
お話したいと思います。